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神様の救いのご計画

マルコ・アントニオ・マルティネス神父


 昨年11月、千葉中央宣教協力体宛てに岡田大司教様から書簡をいただきました。あれから7ヶ月が経ちました。この7ヶ月の間に、千葉中央宣教協力体を構成する4つの教会(西千葉・千葉寺・茂原・東金)から「鎌取プロジェクト」という組織が立ち上がり、活動を始めました。そして、これまでの間に上がってきたさまざまな問題を乗り越えようと、鎌取プロジェクトのメンバーははたらいてくれています。

 一番大切なことは、新しい共同体をつくることです。できる限り私たちの力を結集して、今年の11月、岡田大司教様の書簡に対する返事を出したいと思っています。


 聖書を見てみましょう。


 神は自分のいのちを人間に与えるために、ひとつの民を選びました。そして、その救いの歴史の中で、その民の中からいろいろな人を選びました。神は彼らに特別な使命を与える前に、まず彼らが自分の弱さを忘れないように、さまざまな試練を与えます。そのような試練を通してはじめて、人間は自分の本性を知り、神からの使命を受けることがかなうようになります。そして、その使命を果たすことは、自分の力に頼るのではなく、神の力によってできることを知るのです。


 アブラハム。


 アブラハムは、ただ神の言葉を信じて、果てもなく歩き始めました。その信仰によって、“信仰の父”と呼ばれるようになりました。

『時に主はアブラムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。(創世記(口語訳) 12:1)』

『神は言われた、「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの地に行き、わたしが示す山で彼を燔祭としてささげなさい」。(創世記(口語訳) 22:2)』


 ヨセフ。


 ヨセフは、ヤコブの11番目の息子として生まれましたが、他の兄弟に裏切られ、奴隷として売り飛ばされ、エジプトへと流れ着きます(創世記37章)。そしてエジプトでも厳しい生活を余儀なくされます。しかし彼は決して神に対する信仰を捨てることはありませんでした。時が経ち、彼がエジプトの王の右腕として働くようになった頃、かつて自分を裏切った兄弟が、飢饉に苦しみ、彼の元に食べ物を求めてやって来ます。その時はじめて、ヨセフは、神の計画に気づかされました(創世記 45章)。


 モーセ。


 モーセは、エジプト王ファラオによって、その王子の座から下ろされ、ヘビやサソリしかいないような砂漠の中を歩き始めます。その試練によって彼は心を改め、神から約束された地へ、自分の民を導く使命を与えられました(出エジプト記2章〜3章)。


 ペトロ。


 ペトロは、イエスの受難の際、「彼を知らない」と言ってイエスを裏切りました。しかしその後、自分の罪を認め、神のゆるしを受けて、教会の大柱になりました。

『ペテロは「鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、外に出て激しく泣いた。(マタイによる福音書(口語訳) 26:75)』


 パウロ。


 パウロは、かつてキリスト者を迫害する者でしたが、ダマスコへ向かう途中、光の中でまぼろしの主イエスに出会います。まだキリストの使命を知らないパウロは、何日も視力を失いさまよいますが、祈り続けて立ち上がり、誰よりもキリストを証しする人となりました。

『サウロ(パウロ)は地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。(使徒行伝(口語訳) 9:9)』


 主イエス・キリスト。


 主イエス・キリストは、ゲツセマネの園で、これから襲われるであろう苦しみを知り、ひとりの人間として、その試練を避けたいと願いますが、御父を信じ、受難の苦しみを受け入れ、復活の栄光を受けました。

『また二度目に行って、祈って言われた、「わが父よ、この杯を飲むほかに道がないのでしたら、どうか、みこころが行われますように」。(マタイによる福音書(口語訳) 26:42)』

『「アバ、父よ、あなたには、できないことはありません。どうか、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころのままになさってください」。(マルコによる福音書(口語訳) 14:36)』


 岡田大司教様の書簡により、今、わたしたちは大きすぎる課題を与えられています。しかし、わたしたちは自分の力に頼るのではなく、神の力、聖霊の導きを信じましょう。


 みなさん、ぜひ今月中に、上記の人たちについて書かれた聖書の箇所をゆっくりと読んでみてください。

 そして、祭壇の中央に輝いているろうそくの光を忘れずに、この鎌取プロジェクトのために祈り続けましょう。


 6月14日(木)のミサ(年間第10木曜日)の集会祈願に、このような祈りがありました。わたしたちの今にふさわしい祈りと思います。


「ひとり子を与えるほど世を愛された父よ、あなたは愛のおきてによって、すべてを完成に導いてくださいます。わたしたちが互いに愛し合うことによって、人々にあなたの愛をあかしすることができますように。アーメン。」


「シャローム」2012年07月号掲載

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