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「恵の1年」の恵み

マルコ・アントニオ・マルティネス神父


 皆さん憶えていますか? 2年前、わが千葉寺教会創立50周年のお祝いとして、1年をかけて学び、祈り、証しを通して神さまの恵みに感謝を捧げたことを。そして、この50年の間にいただいた沢山の恵みに感謝するだけでなく、これからの私たちの信仰の証しのためにもお恵みを願いました。


 岡田大司教様から千葉寺教会の主任司祭として任命を受けた時から、すぐにこの50周年のお祝いのことを考えねばなりませんでした。祈りのうちに、ふさわしいお祝いのために何ができるか聖霊の力を願いました。そして、「恵みの1年」のことを計画しました。この1年間のお祝いのアイディアはとてもこの共同体ではできないことだという声もありました。


 しかし私は、共同体のために良いチャンスだと思いました。そこで、プロジェクトチームを作り、力を合わせて「恵みの1年」のプランをコロンバン会に感謝することから始めました。そして月ごとにテーマを決めました。特に七つの秘蹟を中心に学び、祈り、証しを行いました。その1年間にいろいろなイベントを行いました。その中で、7月のテーマは司祭叙階の秘蹟についてでした。


 その月には天本助祭、サレジオ会の関谷神父さま、幸田補佐司教さま、そして駐日ヴァチカン大使アルベルト・ボッタリ-大司教さまの訪問があり、それぞれの方がご自分の召命について証ししてくださいました。


 同じ7月、日曜学校の子供たちによる模擬叙階式がありました。リハーサルのときは子供たちがあまり一生懸命取り組まないので、途中でやめようかと思ったこともありました。でも本番での子供たちの真剣さは目を見張るものがありました。特に叙階される役と司教を務めた子どもの顔と目の輝きは今も良く憶えています。


 ここまでの長い話しは皆さんに伝えたい喜びの前置きです。模擬叙階式で司祭に叙階される役を務めたT・Tくんが、4月から四日市サレジオ志願院に入学します。Tくんは志願院で共同生活をしながら、私立の中学校に通います。


 Tくんは12歳の子どもです。でもその小さな心の中に神さまに仕える光が点っています。その光が消えることのないように、大きく育つようにサレジオ志願院があります。3週間ほど前に志願院の院長さまが挨拶にみえました。そして、Tくんが休暇で千葉に戻ったときは、主任司祭として小教区の活動を通して彼を守ってくださいと頼まれました。サレジオ会の神父さまたちは、子どもの教育の専門家です。だからTくんの心の中にある小さな種を上手に育ててくださると思います。安心してTくんを送り出します。司祭への道はそれほど広いものではありませんが、Tくんには「遠い先のことは神さまにお任せして、一日一日を共同生活の喜びの中で過すように」と伝えました。先のことは私にも判りません。もしTくんが劇の中ではなく、本当に司教さまの按手によって司祭叙階の秘蹟を受けることとなれば、それほど長生きしないであろう私は天国からそれを見て喜ぶことになります。


 みなさん、この「恵みの1年」の恵みを神さまに感謝しながらTくんを送り出しましょう。


 ありがとう神さま、ありがとう、沢山の恵みを、ありがとう。


※ウェブ掲載にあたって個人名をイニシャルに変更しました。

「シャローム」2008年04月号掲載

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